アパート経営をするために、所有している土地を活用しようと考えているなら、関係する規制について理解しておく必要があります。土地を放置しておくと税金が課税され、出費がかさんでしまいます。しかしそもそも規制区域であれば、アパートを建設することができないかもしれません。建物を建設する前に、土地や建物に関するどのような規制があるのか、また災害に関する規制についても調べておくべきでしょう。この記事では、土地の規制や制限について関係する規制や法律を分かりやすくまとめています。
所有している土地にどのような規制があるのかを調べるときには、市町村が発行している都市計画法に分類された地図を見ることが調べられます。インターネットで検索して、該当する市町村のホームページから閲覧することが可能です。
例えば、東京都の場合には都市整備局が都市計画情報を掲載しており、概略位置を表示しています。常に最新の情報を反映しているわけではありませんが、どのような規制があるのか確認しておきたいときに有効な方法です。最新の都市計画図などは、市町村の情報を確認しておきましょう。
もし計画図などを見ても難しい用語が多くて分かりにくいと感じるのであれば、不動産業者に相談してどのような規制があるのか聞いてみることができるでしょう。
市街化調整区域というのは、市街化を抑制しているエリアです。市街化区域は人が住みやすいエリアになるように市街化を推進している地域のこと。具体的には用途地域を定めて、都市基盤やインフラの整備を実施します。
しかし市街化調整区域になると、住宅は農林漁業に従事している人用に制限されています。またインフラも整っていないことが多いです。市街化調整区域という規制は空き家対策として実施されたもので、建物を建てたり、建て替えには開発許可が必要となります。
市街化されていることで人が住むための環境があります。しかし市街化調整区域では、市街化を抑制していることから、生活環境が整っていません。建設できる建物に制限があるので、建物を建てたり、建て替えをする前に開発許可が必要となります。中古住宅で増改築やリノベーションをするときでも自治体に開発許可を求める必要があるのです。
区域指定されていると開発が許可されていますが、建てられる建物の規模を決める容積率や建蔽率制限の他、既存建物よりも一定の規模までしか建て替えができないなどの制限もあります。建て替えの際も、用途変更が認められないことから、住宅の規模や目的も制限されます。 市街化調整区域では、上下水道のインフラの整備が遅れていたり、整備工事の助成金が受けられなかったりというデメリットもあります。市街化を抑制するために、生活で必要なものも整備されていないので、不便さを感じることもあるでしょう。市街化区域で建物を建てるときよりも、工事費用が上がってしまう傾向はあります。
また規制の影響から、スーパーやコンビニなどの施設や交通機関からの距離が遠いです。市街化調整区域では林業や農業を行うエリアですので、静かに暮らせる環境は整っていますが、便利だとは感じにくい地域といえるでしょう。高層マンションなどの建物も建築されにくいので、自然環境も整っています。しかし市街化調整区域が変更される可能性もあるので、将来の暮らし方の変更についても考慮する必要はあります。
市街化調整区域でも区域指定されているエリアであれば、建設できるので活用することはできます。専門の仲介業者もいるので、市街化調整区域を売買したり、資材置き場や駐車場として活用したりすることも考慮可能です。開発許可が下りることもありますし、市街化調整区域の売買に長けている業者もいます。
しかし土地や建物の売買では多くは取引されていないことから、知識やノウハウを持った業者に相談して活用すると良いでしょう。
農地法というのは、農地を自由に処分してしまわないように制限がかけられているものです。農業が衰退してしまうと、食料の供給を輸入に頼る必要が生じます。食料供給を安定させるために、農業の基盤となる農地を守るのが農地法で、農地の取引が規制されます。
田んぼや畑などの農地、さらに家畜の放牧や採草のための土地である採草牧草地が対象です。登記簿上で宅地とされていても農地とされていると農地法が適用され、事実状態が判断されるのが特徴です。
農地法は農地の権利の移転などを制限しますが、3条から5条において制限が規定されています
3条では権利を移転したり、設定するのに許可が必要となります。農地の所有権の移転や賃借権などの設定や移転には、契約の当事者が農業委員会の許可を求めます。原則として農家以外の者が農地を取得することはできません。経営面積が50ha以上であることが要件です。
もし農地法第3条によって定められている許可を受けないまま権利の移転や設定をすると、契約が無効になるだけでなく、3年以下の懲役または300万円(法人は1億円)以下の罰金がかされる制限です。国が農地を取得するケースや、相続による権利の移転の場合は3条制限で定められている許可は不要です。
4条では農地を農地以外への転用をするときに、都道府県知事の許可が必要となるものです。場合によっては農林水産大臣の許可が必要です。農地を農地以外へ転用することが制限されており、採草放牧地であれば制限の対象外とされています。
例えば田んぼに木を植えて山林にする、農地を資材置き場や駐車場に変更するなどは、農地法の第4条の制限を受ける例です。もし許可を受けないまま転用した場合には、原状回復や工事の中止が命じられることがあります。また許可がないまま転用した場合には、3年以下の懲役または300万円(法人は1億円)以下の罰金です。
農地を農地以外や採草放牧地を農地以外に転用するために、賃借権など土地の所有権や使用収益する可能な権利の移転には都道府県知事、面積が2haを超える場合には一定の条件では農林水産大臣の許可が必要です。
例として、農地を購入する目的が住宅地や駐車場などにするというものです。許可がないまま契約をすると、契約が無効になるだけでなく、原状回復や是正命令が行われることもあります。また3条や4条の違反と同じように懲役もしくは罰金が科されることもあります。
農地には転用できるものとできない土地に分けられます。土地転用が可能であれば、宅地に単調してアパートなどの建設ができるでしょう。その他に事業用地として土地を貸したり、農地として貸したりすることも可能です。農家に貸すというのは、借り手が継続的に農業を行うことができ、農業委員会の審査に通るのであれば、1番簡単な方法です。
また太陽光発電も農地の活用方法として選択されています。太陽光発電であれば、他の土地活用でネックとなる集客が必要ないので、どの土地でも活用できる方法となります。
宅地というのは、農地や採草放牧地、森林、公共施設用地以外のことを指します。必ずしも家が建っているので宅地というわけでなく、駐車場が資材置き場なども宅地に含まれます。
土砂の流出が生ずるおそれがある市街地や市街地になりえる区域で、災害を防止するための規制です。規制区域に指定されていると「宅地造成工事規制区域」とされ、工事の許可が必要となります。また区域内では、地盤改良や擁壁工事の計画を行い、工事の許可の他に工事後の検査も必要です。
宅地造成等規制法で定められている内容として、宅地造成工事を行うに際して、造成主が当道府県知事の許可を受ける必要があります。宅地造成工事規制区域に指定されている区域で、高さ2mを超える崖の切土や高さ1mを超える崖を生じる盛土に都道府県知事の許可が必要です。
また切土と盛土を合わせて500平方メートルを超える宅地造成工事でも都道府県知事の許可が必要です。その他に、高さ2mを超える擁壁や排水施設の取り壊しにも届出が必要となります。既存の擁壁や排水設備が不十分と判断されると、改善するための工事が必要です。
宅地造成工事規制区域内で家を建てるときには、通常の区域と比較して建築費が高くなります。それも規制されている工事の場合には、許可を申請して、工事後に検査済み証を発行してもらう必要があるからです。石積みなどの不適格擁壁でなければ、資産価値に大きな影響を与えません。
しかし将来的に擁壁を増改築するときには許可が必要であることを念頭におき、土地の活用を行う必要はあります。すでに擁壁があるなら安全なものかどうかの確認、また排水施設についてもチェックが必要となるでしょう。
急傾斜地法は、急傾斜地が崩壊することで災害が発生して、人名に被害を与えないように、崩壊を防止するために1969年から制定されている法律です。
そもそも急傾斜地とは、傾斜度が30度以上になっていて、高さが5m以上ある土地のこと。崩壊によって相当数の居住者に危害が生じる可能性があると急傾斜地崩壊危険区域に指定されます。
急傾斜地崩壊危険区域というものが定められ、崩壊するおそれがある急傾斜地で切土や盛土、掘さくなどの行為をする前には都道府県知事の許可が必要なものです。
急傾斜地崩壊危険区域で制限されている工事を行うときには都道府県知事の許可が求められます。水の浸透を助長、水の放流などの行為、ため池や用水路などの設置や改造、のり切り、切土、掘さく、盛土などの工事、土石の採取や集積などの工事です。
高さが5m以上で径斜度が30度以上の崩壊するおそれがある土地で、5戸未満であっても公共施設などがあると規制の対象となります。一般的に急傾斜地崩壊危険区域に指定されると、都道府県が崩壊防止工事を行うことが多いです。
しかし所有者などで工事からの受益者が一部費用を負担する必要があるケースもあります。航空写真や現地調査から急傾斜地崩壊危険個所と指定されている場所もありますが、上官は同じ高さが5m以上で径斜度が30度以上の崖です。急傾斜地崩壊危険箇所は法的規制はありません。
急傾斜地に指定されていると、複数のリスクを考慮する必要があるので、建物を建設して運営するという土地活用は慎重にならざるを得ません。安心して生活するためには、地盤やのり面の改良工事に多額のコストが必要とされ、地滑りが発生すると大きな被害を受けることになるからです。
そこで、太陽光発電が1つの土地活用方法となります。傾斜している土地なので、架台の設置がしやすく遮るものがなければ発電効率も良くなるでしょう。
都市緑地法は1973年に定められた旧都市緑地保全法で、首都圏や近畿圏に限定されていたものが全国に拡大しました。緑が少ない都市部において、緑地を保全したり推進したりするために定められているもので、緑地保全地域、特別緑地保全地区、緑化地域、緑地協定を指定しています。上記の4つの地域は、都市計画法で「地域地区」に定められているもので、都市計画区域内の土地を21種類に分類して用途を定めている中に含められています。
4つの地域に分けて、規制が設定されています。
緑地保全地域では都市近郊の緑地で、建築などを行うときには、事前に都道府県知事に届出が必要です。一般的には郊外の山や森林に設定されているので、不動産の売買に影響を与えることは少ないエリアです。
伝統的な寺社や歴史的建築物がある森や林、景観の優れる区域、動植物の生息地に設定されています。建物の建築に都道府県知事の許可が求められます。
都市中心部で、公園などで緑地の増加が難しいと建築物の敷地内に緑地面積を増やす目的で指定されています。緑化率の最低限度が設定されており、緑化率を守って建築や増築します。
都市計画区域内で相当規模の土地所有者や道路や河川を所有する土地所有者全員で合意し、市町村長の認可を受けると緑地協定を締結します。
緑化地域や緑地協定が締結されているエリアであれば、協定を遵守する義務があるので、都市緑地法に基づいて協定が締結されているのか、また緑化地域に指定されていないか確認します。また指定されているエリアであれば、新築や増改築のときに緑化率を守りましょう。
地すべり等防止法は、地すべりやぼた山の崩壊による被害の防止、または軽減のために制定されている法律です。地すべり防止区域が定められており、主務大臣である国土交通大臣もしくは農林水産大臣が指定された管轄区域で指定します。管理は都道府県知事が行っていますが、所管が異なるので窓口も異なっています。地すべりをしている区域や地すべりする恐れがある区域と影響を与える範囲で「地すべり防止区域」と指定して危険のある行為を制限する法律です。
地すべり防止区域内で地下水を誘致して停滞させる行為で地下水を増加させる行為、地下水の排除を阻害する行為、地下水の放流や停滞で地表水の浸透の助長、地すべり防止施設以外の新築・改築などが規制されています。上記の行為を行うときには、事前に都道府県知事の許可が必要です。
都道府県知事の許可が得られた場合には、住宅の建築も可能です。地すべり防止区域内から区域外に住宅を移転させるときには、補助があります。現地に標識が設置されているので、工事を行うときには住宅地図に工事箇所を記載して都道府県庁で確認してもらいます。
地すべり危険箇所も設定されていますが、法的規制はない区域で地すべり等防止法に基づいているエリアではありません。
地すべり防止区域は都市政策である「コンパクトシティ」の概念に含まれておらず、立地の良い場所に集まって住むという政策に当てはまりません。
集まって住むべきエリアである「居住誘導区域」にも指定されていないので、不動産価値は下落します。地すべりが起きると被害が発生すると予測されているエリアですので、土地を活用することは難しいでしょう。
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律とは、通称土砂災害防止法と呼ばれており、土砂災害から命を守るために、土砂災害のおそれがある区域を明らかにして、土砂災害の防止のための対策の推進を図る法律です。
人家に影響を及ぼす恐れがある区域を調査して、土砂災害警戒区域のイエローゾーン、土砂災害特別警戒区域のレッドゾーンに指定されています。
土砂災害危険個所で危険性について知らないまま宅地が開発されて、災害が生じて被害を受けることがありました。そこで、災害による被害を軽減するために設定されている法律です。
土砂災害警戒区域においては、警戒区域ごとに情報伝達や救助などの体制を定めることが市町村に求められています。高齢者や障碍者、乳幼児などが利用する施設があるならば、利用者が円滑に避難できるように、情報伝達方法を定める必要があります。
また警戒区域がある市町村長は土砂災害の危険性や飛年経路を周知するために、ハザードマップの配布やその他の措置を行わなければいけません。 土砂災害特別警戒区域では、住宅や社会福祉施設や学校、医療施設を開発する段階で、土砂災害防止のための技術的基準を満たしているのか、申請を行って都道府県知事の許可が必要です。
許可後の変更も都道府県知事の許可が必要です。また新築や増改築で、建築確認が必要で、土石の移動で地盤面に作用する地価の計算が必要となります。
土砂災害警戒区域、もしくは土砂災害特別警戒区域に指定されているのであれば、避難場所や避難経路について把握しておく必要があるでしょう。台風や大雨であれば土砂災害が発生するリスクは高まるので、早めに避難することも検討できます。ハザードマップを確認し、適切な対処ができるように準備しておきましょう。
生産緑地法というのは、都市部の緑地を保存するための法律です。土地には家のための土地である宅地と、田畑や林業に用いられる農地があります。宅地と農地では、固定資産税の額が異なり、農地は固定資産税が安くなります。
元々は都市部に残る緑地を減らすために制定された生産緑地法ですが、平成4年に改正されて都市と緑地の両立を目指す法律になりました。都市部に残された農地は生産緑地とされ、固定資産税が軽減されるなどの税制優遇措置があります。
生産緑地は市街化区域にあれば必ず指定されるものではなく、条件があります。
生産緑地に指定されることで、30年間は営農する義務が発生します。また生産緑地に対する制限として、土地の転用や農林漁業を営むために必要ではない建築物の新築や増改築は制限されます。
ビニールハウスや温室、農産物の生産や出荷のための施設や農業従事者のための施設であれば、許可を受けて建設可能です。いずれしても建設前に市町村長の許可が必要です。
農地として継続して活用するという方法があるので、継続して農業ができます。また都市農地賃借法があるので、農地を貸し出すことも選択可能です。また田園住居地域であれば店舗や飲食店であれば建築可能となります。
その他の活用方法として、生産緑地を解除することで用途地域に合わせた建物を建設できます。アパートやマンションなどの土地活用が考慮できるでしょう。住宅系の土地活用であれば、固定資産税や土地計画税の軽減も期待できます。
森林法は1951年に定められた法律で、森林計画や保安林、その他の森林に関する基本事項を定めたものです。森林の保存培養と森林生産力の増進を主な目的としています。過度な伐採を防ぐために制定されているので、伐採をするときには事前に手続きを行う義務が生じました。
樹木は花粉をまき散らしたり、周りの景観を損ねるなどの被害が発生することもあります。しかし過度の伐採も環境破壊につながります。そこで、伐採に適切な手続きを設けて自然を守ることを目的としているのです。
保安林や保安施設地域内の森林を除く森林が対象となっており、伐採作業を行うときには伐採届をして許可を得ている業者に依頼しなければいけません。樹木を伐採するときには造林届書を市町村に提出し、伐採後にも完了報告を提出しなければいけません。
伐採届が不要とされている森林は、森林開発行為の許可を得ている伐採、測量が目的で別の行政から許可を得ているもの、大きな災害で緊急を要する場合などです。森林法を守らなければ、窃盗罪で3年以下の懲役または30万円以下の罰金がかせられます。また森林窃盗が保安林の区域内であると、5年以下の懲役または50万円の罰金です。届出を適切に行うことと実際の作業内容を届出通りに行うことが大切です。
森林伐採は住宅環境を整えるために必要な作業ですが、適切に伐採しないなら森林法に違反することになりかねません。伐採を行う前と伐採後の届出が必要で、範囲によっては県知事の許可も求められます。森林の樹木を伐採するのにも許可が必要ですが、森林の管理も必要です。
しかし実際に伐採するとなると、チェーンソーの取り扱いの教育と資格が必要なこともあります。個人では伐採の許可を得るのが難しいので、専門の業者に相談して管理するのか決定すると良いでしょう。
自然公園法は公園の保護と利用を適正に行うために制定されているものです。公園計画を定めており、規制計画と事業計画の2種類があります。公園を特別保護区、第1種~第3種特別区域、海域公園地区、普通地区に分けて制限を課します。
また事業計画は、公園の景観と生態系を守るための、施設計画と生態系維持回復計画です。外来生物の正解系の被害や食害などから対策を行います。2002年の改正では公園管理団体制度の創設など、2009年の改正では海域公園地区の創設などがされています。
自然公園は自然風景を保護するために、開発行為が規制されています。開発行為を行うときには、自然公園法や自然公園条例に基づいて、申請や届出が求められています。
特別区域では、工作物の新築や改築、樹木の伐採、鉱物の採取、広告の掲示、動植物の捕獲や採取、施設の塗装色彩の変更なども許可が必要です。
特別保護区では、特別地域での規制の他、樹木の損傷や焚火なども許可が必要となります。
さらに海域公園地区では埋め立てや干拓、環境大臣が指定している区域や期間内の動力船の使用も規制されます。
公園内に民有地が含まれている場合には、一定規模以上の開発で許可が必要になることがあります。許可や届出は国立公園なら環境省、それ以外は都道府県に行います。指定地域になっている場合には、建物の建蔽率や容積率などで制限が発生するケースもあるでしょう。
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