傾斜地とは名前の通り、傾斜に沿って斜めになっている土地のこと。通常の平坦な土地とは異なる形です。傾斜地で土地活用を行う場合、法律面での規制や安全面の充実、知識の取得などさまざまな事前対策が必要となります。ここでは、傾斜地の土地活用に関する法律やメリット、デメリットをまとめてご紹介します。
傾斜地とは、名前の示す通り土地が傾いている状態のことを指します。坂道の途中にある建物などをイメージするとわかりやすいでしょう。坂道だけでなく、山地や台地の斜めになっている土地も傾斜地です。また、崖なども傾斜地に含まれています。建築基準法の中では、崖についての記載はありますが、明確な基準はありません。傾斜地の土地活用を考えている場合、土地の形に合わせた上手な活用方法を見つける必要があります。
傾斜地には法的規制があります。先述の通り、崖には明確な基準はありませんが、明確な定義をしている自治体も。神奈川県では「こう配が30度をこえる傾斜地で、崖の高さは関係するものではない。」(※注1)としています。それぞれの自治体によって傾斜地について定義づけがされている場合もあるので、土地活用の際には事前にチェックが必要です。
傾斜地はその特性から市場価値があまり高くありません。そのため固定資産税は低めです。相続しても費用面の負担が少ないので、なるべく投資額を抑えた土地活用をしたい、という方にとってはメリットでしょう。傾斜地は坂道や台地の途中にあるので、平坦な土地より高いところにあります。このため、自然と眺望の良い場所に建物を建築できるのです。眺望の良さは一定のニーズがあるので、売却や土地活用の際にはこの点を強調すると良いでしょう。
独特な形の土地なので、デメリットもあります。最大のデメリットが、大雨や地震などに弱いという点です。周りの環境や土壌によっては地滑りが起こる可能性もあるので、事前調査が必要になり、それにかかる費用も負担しなければなりません。傾斜地を利用して家屋を建てる場合、基盤は平坦な土地より気を遣う必要があります。また、「急傾斜地崩壊危険地域」に指定されている傾斜地の場合、工事を行う際に多くの法的規制を受けてしまうのです。
メリット | デメリット |
---|---|
固定資産税などは低い場合が多く費用面での負担が少ない | 大雨や地震などの自然災害で地滑りが起こる場合がある |
眺めの良い土地が多いので、眺望の良い建物が作れる | 法的規制があるので工事の際には注意が必要 |
一定のニーズがあるのでそこを狙って活用や売却ができる | 基盤作りは平地より気を遣わなければならない |
傾斜地でアパート経営をする場合、一番重要なのが地盤に関する備えです。家主として、入居者の安全の確保は、重要な義務。自分の土地が急傾斜地崩壊危険区域でないか、擁壁はしっかり備わっているか、しっかりと確認しましょう。これを怠ると、あとあと大きなトラブルに繋がります。傾斜地は通常の土地よりも十分な備えが必要です。
傾斜を活かしたアパート経営でおすすめなのが、テラスハウススタイルです。テラスハウスとは、一戸建てが横に繋がった形の建物で、建築基準法では長屋に分類されます。陽当たりも景色も良い傾斜地は、一戸建てに近いテラスハウススタイルがぴったりです。賃貸なので一戸建てより安く、陽当たりと眺望の良さで入居希望者の増加が期待できます。また、傾斜地は土地が限られますが、テラスハウスは住居を隙間なく建てられるので、限られた面積の中でも多くの世帯が入居可能です。
引用元:ハステック公式サイト(https://www.hastec.jp/apart_keiei_lp/js01/)
土地を相続した場合、不動産に仲介を依頼して売却するのが一般的となっています。傾斜地も同様で、専門的な知識を持っている不動産に依頼するのが安全で確実な方法です。ただし、傾斜地はほかの土地と比べて独特な特徴があるため、売却が難しい傾向にあります。買い手がなかなかつかないというケースも珍しくありません。不動産に依頼を考えている方は、傾斜地の売買に強い会社を探すようにしましょう。実績のある会社に依頼すれば、こちらの要望に合わせた売却も可能になります。
傾斜地はその特徴的な形から、市場価値は低めです。しかし、近年ではデザイン性に凝った建築物も増加しており、傾斜を活かした形の建築デザインも多く見られます。傾斜地は通常の土地よりも、オリジナリティのある建物を作りやすい土地なのです。このようなニーズを狙い、傾斜地を活用したい建築士などを探して売却するのは、有効的な方法と言えます。市場価値は低く取り扱いも難しいですが、一定のニーズはあるので、購入希望者を見つけ売却に繋げましょう。
傾斜地を売却する場合、いくつかの注意点があります。まず、所有している土地が「急傾斜地崩壊危険区域」に該当するか確認しましょう。急傾斜地崩壊危険区域の場合、崩落対策工事が必要となります。これは国か県が8割から9割を負担して、残りを住民や市が負担する工事です。崩落対策工事が既に行われている場合でも、その後定期的な検査が必要になりますし、思わぬ出費となる場合もあります。このため、急傾斜地崩壊危険区域の売却は慎重に行わなければなりません。
傾斜地を売却するうえでもう一つ注意が必要なのが、擁壁の有無です。擁壁は、斜面の崩落を防ぎ平らな土地を作るもの。既に住宅や建物がある土地の場合、多くは擁壁が施されていますが、ただ切り開かれた土地の場合、擁壁はされていないことがほとんどです。擁壁は傾斜地に建物を作る際に必要不可欠なもので、工事費用がかかります。場合によってはこの工事費用を負担しなければならないので、擁壁の有無は重要なチェックポイントです。
市場価値が低い傾斜地は、どうしても売却できない、というケースも珍しくありません。もし売却できなかった場合、自分で工夫する必要があります。傾斜地の土地活用方法としては、空き家のまま賃貸物件にする、倉庫や別宅として再利用、そして陽当たりの良い特性を利用して太陽光発電を設置するなど。このように、市場価値が低い傾斜地でも活用方法によっては便利な使い方ができますし、収益を得ることも可能です。
もし家屋ごと相続した場合、空き家にして賃貸物件にする方法がおすすめです。傾斜地の売却は、前述の通り法律面や地盤の安全面など、さまざまな問題点をクリアしなければなりません。しかし、一軒家のまま賃貸物件にすれば、手間や費用は最低限に抑えることができます。一時的な入居者にとっては、傾斜地はあまり大きな問題ではありません。都心や駅近くなどの人気地区であれば、ファミリー、単身者、シェアハウス希望者など、入居者は十分期待できます。
家屋の取り壊しには撤去費用がかかります。賃貸物件にする場合もリフォーム料金や維持費などが必要に。さらに家主として管理の手間も出てきます。これらの費用や手間をかけたくない方で、もし近くに住んでいたら、倉庫として活用する方法がおすすめです。自宅に入らない荷物も倉庫があれば管理も楽になります。また、別宅として利用するのも一つの手段です。どうしても売却できない場合、収益化にこだわらず、ライフスタイルに合った自己利用を検討してみましょう。
傾斜地の特徴として、陽当たりが良い点が挙げられます。これを活かした活用法が、太陽光発電です。傾斜地は日を当てるために架台を高くする工事などの必要がなく、効率的な太陽光発電ができる場所です。また、太陽光発電は設置初年度から利益が期待できます。ただし、設備費用の回収は約10年かかるので、計画的な運用が必要となります。定期的なメンテナンスも必要となってくるので、投資額と収益のバランスを事前にしっかり検討する必要があります。
独特な形の傾斜地ですが、活用方法は一つではありません。まず自分の所有する傾斜地がどのような形、状態であるかをしっかりと把握し、周りの環境に合わせた活用方法を見つけましょう。土地の維持や工事など、さまざまな手間がかかりますが、土地所有者として安全面を確保するためにこれらの手間は欠かせません。必要に応じてしっかりとした対策をしましょう。
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