関西でのアパート経営について考える際、真っ先に注目すべきは地価の状況ですが、関西圏では次の点に留意する必要があります。それは、住宅地にしろ商業地にしろ平準的ではなく、地域によってバラつきがあるということです。
直近の地価公示によれば、大阪や京都など都市部では上昇傾向にあり、そのエリアだけ見ると関西全体の地価が上昇しているかのように見受けられますが、実は都市部から離れて地方へ行くほど地価は下落傾向にあります。
関西地方でアパート経営を行うときは、関西エリアを一まとめにして土地活用の有用性を考えるより、地域ごとの地価状況を頭に入れつつ、さらにエリアごとに優良候補地や人気、将来性、また物件ごとにクオリティや利便性などを検証したほうがいいでしょう。
それでは、関西圏のアパート経営における土地活用の有用性について、都道府県別に見ていきます。
全国的な少子化の波を受け、京都府では2000年をピークに人口は減少の一途を辿っています。ゆえに、人口面から見ると京都府でのアパート経営は難しいと考えがちですが、別の側面から見ると、十分に光明を見いだすことができます。
それは、地域によっては地価が上昇していること、日本有数の観光地でありインバウンド需要が高いエリアが多いこと、そして大学や企業も多く賃貸需要も堅調であることです。
京都全体の地域ブランドや由緒ある土地柄は言うまでもありませんが、昨今は古都・京都ならではの遺産や文化に惹かれて訪れる訪日外国人も多く、そうした観光産業が梃子(てこ)となり、人口減少とは裏腹に市町村地価ランキングの変動率で上昇を続けているエリアが目立ちます。
産業振興を着実に賃貸需要へ結び付けているエリアを選んで投資すれば、京都府でアパート経営を成功させることは夢ではないでしょう。
大阪府は関西圏どころか、日本全体でも東京の次にランキングされる大都市です。人口や経済規模でも全国屈指であり、中古マンション販売希望価格でも近年は東京以上に上昇が激しいなど、不動産投機が活発に行われているエリアでもあります。
一方、昨今の人口動静や不動産事情の変化から、課題がないわけでもありません。
例えば、人口は地域別には増加に転じている地域がある一方、大阪府全体では減少傾向にありますし、不動産事情においても、かつては経済圏の中心だったミナミ(難波駅周辺)が衰退し、代わりにキタ(梅田駅・大阪駅周辺)が一極集中し始めるなど、かつての不動産投資モデルやプランが通用しない状況になっています。
大阪府でアパート経営を行う際は、大阪府全体の人口・経済・不動産動向を注視しながら、その中でより人気が高く将来性があるエリアや、交通インフラが整っていて学校や企業が多いエリア、再開発が予定されているエリアなど、賃貸需要の上昇が見込まれるエリアに投資するのが賢明でしょう。
福井県でのアパート経営なら、福井市と敦賀市がメインターゲットになるでしょう。なぜなら、福井市は福井県の核となる県庁所在地であり、JR北陸線沿いにあって交通の便も良く、市内を中心に人口も増えつつあるからです。
一方の敦賀市も、人口約66,000人を抱える中規模都市であり、人口動態の推移が過疎地に比べて堅調なことに加え、主要駅の敦賀駅から京都へ1時間、大阪・名古屋へ1時間30分程度でアクセスできることや、2023年に「北陸新幹線」の停車駅になることが予定されていることなど、交通事情が漸進的に向上していることなどは、投機面での将来性が高いことを想像させます。
一方、福井県は大阪や京都に比べ不動産投資でのキャパが少ないため、アパート経営で参入する場合は、いかに利便性が高く住みやすいエリアを見つけるか、また、いかに収益性の高い良質な物件を確保できるかが鍵になるでしょう。
三重県は大阪や京都に比べ派手さはありませんが、アパート経営という観点から俯瞰して見たとき、将来を嘱望される地域であると言っていいでしょう。なぜなら、人口31万人の四日市市を筆頭に、27万の津市、19万の鈴鹿市、16万の松阪市、14万の桑名市、12万の伊勢市など、人口4万人以上の中規模都市が各地にひしめき合っています。加えて、JR紀勢本線、JR関西本線、近鉄名古屋線、近鉄山田線、近鉄湯山線、近鉄鈴鹿線、伊勢鉄道など複数の路線が乗り入れて交通インフラが整い、賃貸需要が高いエリアでもあります。
もちろん、臨海部のコンビナートを中心に昔から県の経済を牽引してきた製造業の頑張りも、不動産投資を後押ししてくれるでしょう。
日本全体で人口減少が危惧される中、滋賀県は平成31年4月1日現在で総人口が1,411,498人で、前年同月と比べて1,484人の増加を記録、そして2000年と比較しても、2012年以降は横ばいもしくは減少傾向にありますが、それまでは上昇傾向にあり、現在も堅調に推移しています。
人口事情が堅調な背景には、草津駅、栗東駅、野洲駅など東海道本線沿いを中心に、広大かつ平坦な地形が住みやすい街を形成し、住宅需要を後押ししていることです。滋賀県でアパート経営に乗り出す場合は、こうした滋賀県ならではの利点に注目するといいでしょう。
兵庫県は全体的に人口事情も地価事情も安定していますが、数量的な変動が地域ごとに激しい場所でもあるので、アパート経営に臨む際はその辺りの動向をしっかり把握しておく必要があります。
例えば、瀬戸内海と大阪に近い南部の神戸、姫路、尼崎、西宮などでは基本的に人口が増加傾向(尼崎は減少傾向)にあり、経済規模も発展、利便性や住みやすさも向上していますが、一方で豊岡市など日本海側に近い北部では総じて人口は減少傾向にあって過疎化が進み、住宅需要も激減するなど南部との明暗が分かれる形となっています。
交通インフラの充実や教育機関の多さなどからいっても、不動産投資における将来が期待できるのは兵庫南部でしょう。
奈良県は、全体としては総人口が少なく、市区町村別に見てもほとんどの街で減少傾向にありますが、その中にあって、一際、目を引く街があります。それは、1995年から2018年までの間に人口が56,739人から78,542人へと爆発的に増加した「香芝市」です。
生駒市を除いて奈良県のほとんどの地域で人口が減る中、「香芝市」で人口が増えた背景には、県の北西部にあって西国一の大都市・大阪府に隣接していることと、近鉄大阪・南大阪線、JR和歌山線など路線を中心とした交通網が発達し、大阪-奈良間を結ぶ交通の要衝としての役割を果たしていることです。このことは、奈良県でアパート経営を考える際の重要な参考材料となるでしょう。
和歌山県は、主要都市の和歌山市(人口約360,000人)をはじめ、橋本市(約62,000万)、田辺市(約72,000)など人口密集エリアで軒並み人口減少傾向にあり、少子高齢化が進むなどの事情も相まって、不動産投資を行うに当たってはポジティブ材料が見つかりづらい状況にあります。
しかしそうした中にあって、岩出市のように、ゆとりのある土地を有効活用し、国道沿いに郊外型店舗を集積(通称ロードサイド集積)させることによって、確実に人口を増やしているエリアもあります。従って和歌山県では、各地域の地の利を生かした街作りを行い、住みやすさと利便性を高めている地域が不動産投資の狙い目になるでしょう。
鳥取県は、県全体の人口が1995年から2018年までに614,929人から560,517人に減少、主要都市でも米子市を除いて減少傾向にあるなど、人口面から見るとやや勢いに欠ける地域となっています。
しかし、不動産事情から見ると、必ずしも住宅需要や賃貸需要が低いとは言えず、むしろ、鳥取市が「2017年住みたい田舎ランキング」で総合1位に輝いたり、街の至るところに病院があって安心感のある米子市の人口が増えるなど、アパート経営など不動産投資の機会を見出すことは十分可能です。
もっとも人口の大部分が鳥取市と米子市に集中しているため、安定的な経営を目指すなら、この2地域において生活の利便性が高いエリアで物件を得ることが必須条件となるでしょう。
徳島県は、国勢調査で1995年から2018年の間に総人口が832,427人から736,475人に減少するなど、漸進的に人口減少社会が進んでいます。主要都市でも人口が増加傾向にある地域はほぼ皆無ですが、県内で人気のある町は、県庁所在地の徳島市が堂々の1位、2位は関西に近い鳴門市で、不動の地位を誇っています。
一方、少子高齢化が進む徳島県内にあって、20年前よりも人口を増やしているのが、北東の吉野川沿いに位置する「板野郡藍住町」。ここは人口が増えていることに加え、人気エリアの上位にランクするなど、不動産投資の穴場として注目する価値がありそうです。
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