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原野商法とは?

このページでは、不動産トラブルの一例として挙げられる「原野(げんや)商法」について紹介しています。

原野商法は、言葉巧みに土地を巻き上げたり、売りつけたりする悪徳商法。近年では増加の兆しをみせています。無用なトラブルに巻き込まれないよう、大切な財産を手放さないための知識を身につけましょう。

原野商法とは?

「原野商法」とは不動産における悪徳商法の一種です。

未開の山林・原野について、リゾート地や道路などの実在しない開発計画を「ある」と偽り、将来的な値上がりをちらつかせて販売するというもので、1970年代から1980年代にかけて被害が多発しました。

昨今では、この「原野商法」で無用な土地を購入した人に対して、さらに価値の低い土地を購入させるなどの二次被害が出てきています。

また、海外の富裕層に対する原野商法も増えてきています。

1.水源地投資詐欺

無価値な土地を「水源地」と称して売りつける原野商法の一種です。特に、北海道鳥取県などで被害が急増しました。

大手飲料メーカーの関与をほのめかすものから、日中関係の悪化から「日本の水資源を買収する中国から水源を守る」という名目のものなど、手口はさまざまです。

なお、日本においては河川法に基づかない水利権の売買はできず、他にもさまざまな法的制約があるため、国籍や個人・法人を問わず、水源地を購入しても水源として利用できることはまずあり得ません

2.中国脅威論を用いた詐欺

中国が日本の土地を買うことで、中国が日本に自治区を作るのではないかという「中国脅威論」が一部メディアなどで取り上げられることもあります。そうした情報を元に、日本人の愛国心を利用して無用な土地を売りつけるという手法があります。

また、中国人に対しても、そうした日本人の動きを逆手にとり「必ず値上がりする」などと吹聴して二束三文の土地を高値で買わせるといったこともあります。

なお、中国人が日本の土地を買ったとしても、そこが中国領になることはありません

原野商法の二次被害

原野商法の被害者を狙うケースが増えている

昨今増えてきている原野商法の二次被害には、「必ず値上がりする」とそそのかしてさらに土地を買わせるものや、原野商法で購入してしまった無用な土地を持てあましている人に「買い手が見つかった」「地籍調査が行われる」「公共事業が計画されている」などとして、測量代として高額を巻き上げるような手法も出てきています。その場合、まともな測量すら行われないというケースも往々にしてあります。

また、原野商法の被害者に対し、土地をほしがる外国人に土地を売るなどとして、管理委託契約を締結させるという詐欺の手法もあります。

原野のニーズは非常に低いというだけでなく、原野自体が森林法によって開発が規制されているということで、基本的には買い手がつくことはまずありません。

原野商法で買ってしまった土地の下取り+別の土地を買わせる

原野商法で購入してしまった土地の売却を勧誘し、その土地を下取りした上でさらに別の土地を高額で買わせるというケースが、2010年代に急増してきています。

ようやく土地を処分できたと思ったらさらに高値の土地をつかまされてしまったという被害相談が国民生活センターに多く寄せられており、注意を呼びかけています。

こうした二次被害は、1970年代から1980年代にかけて原野商法の被害に遭った人が軒並み高齢となり、負の遺産を整理したいという思いが募っているという心理を利用したものが多くなっています。

原野商法がもつ3つの特徴

原野商法の問題には、以下の3つのポイントがあります。

ポイント1.勧誘時の問題

不利な条件を言わない+「口先」だけの契約に踊らされてしまう

原野商法被害の相談事例を見ていくと、書面と違う売却額を口頭で伝えるものや、購入費用を後日返金すると説明したにもかかわらず、実際はに返金されないというものが多く見られます。

業者は複雑かつ巧妙な手口で勧誘を行い、実際には購入者にとって不利な条件となっているのに、それをきちんと説明せず、購入者側もそれを理解しないまま契約を結ばされるというケースも出てきています。

さらに、売却に関して実際には存在しない将来的な開発計画・売却計画をほのめかすようなセールストークが行われることも多くあります。

将来のことなので被害者側は正確な裏取りができず、業者を信じて騙されるということもあるでしょう。

他にも、土地の所有者側が高齢となり、「子孫には、(活用しにくい土地という)負の財産を残したくない」という思いが先走り、それを利用されてしまうということもあります。

ポイント2.契約書面の問題

あり得ない「宅地建物取引業法」という記載+クーリングオフについて記載がない

原野は「宅地」ではないことから、基本的には宅地建物取引業法が適用されず、特定商取引法の対象となると考えられています。

しかし業者が用いる契約書面には「宅地建物取引業法に基づいて」などと記載をしているケースが見られ、被害者サイドの誤解や混乱を招くような可能性があります。

また、特定商取引法ではクーリングオフの条件などが記載された書面の交付が義務づけられていますが、それらの記載がない契約書面が用いられるケースもあります。

ポイント3.業者の事業実態の問題

原野商法をするような悪徳業者は、基本的にはまともな事業実態がありません。そのため、取引が成立して入金が確認されると、ほとんどの場合で最終的には業者と連絡をつけることができなくなります

原野商法に巻き込まれた事例

売却勧誘・下取り型

いつの間にか原野を買わされる契約を結んでいた

宅地建物取引業の免許を持つ業者から、親族が購入した買い手のつかない雑木林の売却を持ちかけられたという事例。

「他の土地を一緒に購入すれば節税になる」「購入費用は後で返す」という説明があり、渡りに船ということで土地の購入代金を支払った。

しかし、返金がなく業者とも連絡がとれない。契約書を確認したところ、雑木林の売却益よりも高額の原野を購入する契約となっていた。

別の山林を買う契約を結んでいた

相続した山林を手放そうと考えているところに、業者から購入を持ちかけられ、売却の契約書面にサインをして手数料を支払った。

その際に「別の山林を担保として差し出す」ということになっていたが、契約書を見返したところ、売却と一緒に別の山林を購入する契約を結ばされていることに気がついた。

「原野商法で買わされた土地」を買いたいと申し出があった

過去に原野商法の被害に遭い、その土地を買いたいという業者からの申し出を受けた。土地売却の契約書に署名をしたが、その後、複数回にわたって違約金や税金対策費用などの名目で料金を請求され、多額の支払いを行った。しかし実際には、契約の際には全く説明のなかった価値の低い山林を購入する契約を結ばされていた

山林売却のために別の山林を購入してしまった

過去に購入した山林を買い取りたいという申し出があり、業者と話をしたところ、山林売却のために別の山林を購入するよう言われた。

その際、将来的に別の買い手がつくという説明があり購入をしたが、そうした話はいっこうに進まず、売却益と差し引きしても多額の支払いが生じてしまった

売却勧誘・サービス提供型

調査・整地費用を支払っているが売却が成立しない

所有している山林を「購入したい人がいる」という連絡が不動産屋からあり、不動産屋から売却にあたって調査や整地が必要ということから多額の代金を支払った。さらに、売却が成立する前に、別の土地についても調査費用などを請求された。費用を払うばかりで売却が成立せず、不信感を抱いている。

森林売却のための土地調査費用を払ったがクーリングオフをしたい

過去に購入した森林地を売却しないかと申し出があった。

不要な土地なので売却を期待し、言われるままに売却に必要だという土地調査費用を支払ったが、いきなり連絡してきた業者ということで、契約を取り消したいと思っている。

買付証明書を確認してから整地代を支払ったが、連絡が取れなくなった

北海道の山林を所有していたところ、購入の申し出を受けた。

購入希望者の「買付証明書」や「印鑑証明書」が届いたことで相手を信用し、土地の整地代などの名目で多額の料金を支払った。しかし売買契約が成立せず、業者にも連絡が取れない状態となってしまった。

「この土地は値上がりする」と言われて管理調査の契約をしてしまった

数十年前に購入した土地を放置しており、業者からの売却の申し出についても、整地代などの費用がかかることから断ってきた。

しかし、土地が値上がりするために整地代がかからないという申し出があり、契約書に書面をしたところ、管理調査の費用を請求された。話が違うのでクーリングオフを申し出たが、取り合ってもらえない

管理費請求型

身に覚えのない別荘地の管理費20年分を請求された

知らない管理業者から、25年ほど前に購入した別荘地の管理費を20年分滞納しているので支払うよう通知が届いた

その後直接連絡があったが、購入当初の管理サービスは解約済みであることは確認している。あやしい管理業者からの申し出には不信感を拭えない。

原野商法に巻き込まれないために

原野商法は、かつて被害に遭った人に対し、その弱みにつけ込んで新たに高額かつ不要な契約を結ばせるという悪質なものとなっています。言葉巧みに近づいてきて、「土地を買い取る」「お金は後で返す」など、被害者にとってメリットのあるような説明をしてきますが、実際にそんな甘い話はありません。

身に覚えのないあやしい業者からの申し出に対しては、たとえ宅地建物取引業の免許を持っているなどしても、安易に信用したり、ましてや契約をしたりはせず、きっぱりと断るようにしましょう。

また、根拠がはっきりしない請求に対しては毅然と対応をしなければ、根負けするまでしつこく食い下がってくることもあります。もし不審な業者からの連絡を受けたのであれば周囲の信頼できる人に相談すべきです。

また、万が一トラブルになってしまった際には、すぐに消費生活センターなどへ事情を説明し、判断を仰ぐようにしましょう。

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