土地の形はさまざまです。面積も土地ごとに異なりますが、特に狭い土地のことを狭小地と呼びます。狭小地の場合、その特性を活かした土地活用方法があるのです。ここでは、狭小地のメリットやデメリット、自己運営の方法、売却方法などについて、まとめてご紹介します。狭小地の土地活用の参考にしてみてください。
狭小地とは、その名前の通り狭い土地のこと。法律的には明確な定義はありませんが、一般的に20坪以下の土地のことを狭小地と呼びます。狭小地の最大の特徴はその狭さです。ほかの土地や建物の間にあり、三角形や台形など、不規則な形をしている場合が多く見られます。狭い分、土地が安いというのも特徴の一つです。狭小地だけ周辺の土地の相場価格より安いというケースもあり、一見すると活用しにくい土地ですが、工夫次第でさまざまな使い道があります。
狭小地は活用しにくい土地に見えますが、メリットはあります。まず、狭小地は固定資産税の評価額が低く、節税が可能です。投資額をなるべく抑えたいという方に、狭小地はぴったりの土地と言えます。狭小地に家屋を建てた場合、床面積は狭くなってしまいますが、その分維持費や光熱費などの費用を抑えられることに。これにより、節約しながら土地活用ができます。また、狭小地は地区を問わず安価な設定なので、ほかの土地と併せた活用も可能です。
一方で、狭小地にはデメリットもあります。民法では「建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。」(※注1)と記載されています。これを破ると、場合によっては損害賠償が発生することに。土地を更に狭くしなければならないこの法律は、大きなデメリットとなります。車を所有している場合、狭い土地なので駐車には気をつけなければなりません。また、狭い土地の工事は通常より建築費が高くなりがちなので注意が必要です。
メリット | デメリット |
---|---|
固定資産税の評価額が低く節税できる | 家屋を建てる場合民法がネックとなる |
維持費や光熱費を抑えることができる | 車の所有と管理が難しい |
他の土地と併せて運用しやすい | 通常より建築費用が嵩む場合がある |
引用元:ハステック公式サイト(https://www.hastec.jp/apart_keiei_lp/js01/)
不動産会社に土地売却の仲介を依頼するのは一般的です。狭小地も同様で、依頼すれば自分で売却する手間が省けます。ただし、狭小地はその特性から、通常の土地とは異なった売却アプローチが必要です。狭小地はどの地区でも売却相場は低め。より良い値段で売るためには、狭小地の売却に強い不動産会社を見つける必要があります。まず複数の会社に依頼をして、値段を比較し、どの会社に依頼するか検討してみましょう。狭小地の売却実績が多い会社を探すのも一つの手段です。
上手く売却するには、自分が所有する狭小地がどのような特性を持っているか、周辺の環境など専門的な知識が必要になります。そんなときに頼りになるのが土地活用の専門家です。一見わからない土地の価値も、専門家の視点から見れば新しい発見があるかもしれません。それらの知識を売却戦術に活かせば、より高値で土地を売ることができます。自分の土地にはどんな特性があり、それをどのように活かせばいいか、専門家の知識を借りて検討しましょう。
狭小地はほかの土地と比べて市場価格が低いので、高額で売却したいのであれば、まず所有地の特長を把握する必要があります。先述した専門家への相談は有効的な手段の一つです。素人ではわからない点も、専門家の視点で見れば新しい特長が見えてきます。それを活かしたセールスをすれば、通常価格よりも高く売却できることも。狭小地は安いからとあきらめず、まず自分の土地の特長を見つけることから始めましょう。
狭小地ならではの特長を活かした方法を見つけてセールスするのも有効的な手段です。狭小地を使った土地活用に、ガレージ付き賃貸という例があります。狭小地は車の駐車スペースが狭いというデメリットがありますが、1階をガレージスペースにして2階を居住スペースにすれば、車の所有も可能です。家の中からあえてガレージを見えるようにしたデザインは、車も一つのインテリアになります。このようにほかと差のあるデザインにすれば、狭小地でも人気の賃貸物件にできるのです。
不動産価格は土地の広さ、周りの環境だけで決めるものではありません。狭小地に家屋が既に建っている場合、その家屋の状態も不動産価値の一つになります。汚れや傷は、不動産価値の低下に繋がることに。これを防ぐのが、定期的なメンテナンスです。売却までに間が空く、売却のタイミングを見計らっている場合は、定期的にメンテナンスを行い不動産価値を維持しましょう。狭小地でもキレイな状態を維持すれば、高値で売却するチャンスに繋がります。
もし土地が売れなかった場合、自分で土地活用する必要があります。狭小地は土地が狭く限定されていますが、工夫すれば収益性のある活用も可能です。狭小地の活用方法として、トランクルームや駐車場、駐輪場や賃貸住宅への転用があげられます。それぞれ形が異なる土地活用なので、まずは自分の所有する狭小地の特徴の把握、転用した場合の運営内容などを確認し、どのような活用方法が合っているのか調べましょう。
トランクルームは、自宅に荷物を置けない方が利用するレンタルトランクです。利用期間は一か月単位で、レンタル期間に応じた金額を支払うのが一般的となっています。トランクルームの利用者は年々増加しているので、収益は十分期待できるでしょう。また、トランクルームは土地の広さに関係なく作れるので、狭小地の土地活用の方法としておすすめです。都心は限られた土地で荷物が置けないという方も多いので、トランクルームで高い利回りが期待できます。
狭小地の土地活用方法として、駐車場や駐輪場に転用するのもおすすめです。駅近くや観光地などは駐車場、駐輪場の利用率が多いので、収益の見込みは十分あります。特に都心は自分の土地に駐車場を持てない方も多いので、ニーズを捉えて安定した収益に。ただし、狭い土地の車の出入りは難しいので、注意が必要です。駐車場として使いにくいと利用者も減ってしまうので、転用する前に収支計画をしっかり立てておきましょう。
相続した土地に家屋が建っている場合、リフォームして一軒家の賃貸住宅に転用する方法がおすすめです。一軒家の賃貸は都心でニーズが高いもの。転勤してきた家族や大きな部屋を借りたい単身者、シェアハウスに使いたいという方に人気です。ニーズに合わせたリフォームを行い、賃貸住宅に転用して収益を狙いましょう。土地だけの場合、建築に際して制限が出てきますが、新しく住宅を建てることは可能なので、賃貸向けの住居を作るのも一つの手段です。
狭小地が売却できない場合の土地活用の方法の一つに、自動販売機置き場に転用するというものがあります。これは文字通り飲料メーカーの自動販売機を設置して手数料収入を得るという収益構造ですが、その土地に自販機への需要があり、また立地条件の良い土地であれば、安定した収入が得られる可能性があります。自販機設置の特長は、自販機の大きさを選べることです。自販機のサイズは大小さまざまな種類があるので、その中から狭小地に合うサイズを選べば、設置することができます。
狭小地の有効活用なら、時間貸し駐車場を作る方法もあります。狭小地で駐車場と聞いてもピンとこないかもしれませんが、駐車場は幅2.5m、奥行き5,0m程度あれば、1台分の立派な駐車場が作れます。そして実際に1台からでも契約可能な駐車場会社も存在するので、検討してみる価値はあるでしょう。ちなみに、駐車場には時間貸しと月極がありますが、収益性が高いのは時間貸しです。但し、時間貸し駐車場はニーズがないと安定収入に繋がらないので、事前にニーズの調査をしておく必要があります。
最近、にわかに注目を集めているコインランドリー経営も狭小地の有効な活用法です。なぜなら、コインランドリーに対する需要は、共働き家庭やインバウンドなどを中心に増加傾向にあるからです。しかも、共働き家庭や訪日外国人は今後も増えると予想されているので、それに伴いコインランドリーのニーズもさらに増えていくと思われます。コインランドリー経営を始める方法は設備を導入するだけでよく、経営のノウハウがなくても簡単に開業できます。
駐車場ではなく、バイク置き場や駐輪場にするという方法もあります。バイクや自転車は自動車に比べてサイズが小さくどこにでも止められる考えるかもしれませんが、賃貸マンションなどではバイク置き場がないケースもあり、意外にバイク置き場への需要は少なくありません。近隣を調査してニーズがある場合は、検討してみる価値はあるでしょう。なお、バイク置き場や駐輪場を設置する場合、屋根付きにしたり、ヘルメットが入れられるコインロッカーを付設しておけば、需要はさらに高まります。
狭小地の周辺がオフィス街もしくは工場が林立している場所で、なおかつ飲食店がないエリアの場合、移動販売車置き場に転用するのも有効な活用法です。なぜなら、そのようなエリアにはランチ需要があり、弁当やパン、カフェ、ファーストフードなどの移動販売の業態が成立しやすいからです。狭小地といっても、移動販売車置き場はワゴン車1台分で十分なので、ニーズさえあれば運用は可能でしょう。加えて、人が多く集まる状況を見込んで自販機を置けば、一石二鳥の効果もあり、収益性はさらに高まります。
比較的運用が簡単な土地活用方法としては、看板広告(貸し看板)もあります。看板広告とは、企業や店舗の名前、商品、サービスをなどをPRするために設置する看板のことです。看板広告はどこにでも設置できるわけではありませんが、企業がPRの場所としてふさわしいと判断すれば、設置することができます。そして看板を設置できた場合、土地所有者は企業から看板設置料を得ることができます。所有している土地が企業のニーズにマッチしているかどうか、確認だけでもしてみる価値はあるでしょう。
一見すると狭くて活用できないように見える狭小地でも、工夫次第で土地を目一杯使った建物を建てられます。固定資産税も少なく節税対策も簡単なので、費用を抑えて活用したい方におすすめです。狭小地でアパート経営をする場合、共有部分のない重層長屋が向いています。共有スペースがない分、居住スペースを多く確保できるので、都心のアパートにぴったりの形です。
狭小地にアパートを建てる場合、建築基準法に抵触しないか気をつける必要があります。法律上問題がある場合は、一つ一つクリアしてから建築を始めましょう。重層長屋の特徴の一つとして、特殊建築物ではないので建築に際して厳しい規制を受けない点があげられます。ただし規制が全くないというわけではありません。まず自分の土地で重層長屋が建てられるかどうか、不動産会社や専門家に相談して検討しましょう。
「30坪の土地にアパートを建てるのは難しい」「まして収益性を出すのは不可能」と考える方もおられるかもしれませんが、そんなことはありません。30坪の狭小地でもポイントや注意点を抑えておけばちゃんと建てることができます。もちろん収益性を出すことも可能です。
ここではそのポイントについて紹介しています。
30坪の土地にアパートを建てるときのポイントの一つは、なるべく空き室が出ないよう工夫をし、常に満室を維持できるようにすることです。なぜこれが大切かというと、狭小地に建てる小規模アパートの場合、1室空いただけでも空室率が高くなり、その分、収益がガタ落ちになってしまうからです。
空き室があるのは自然なことだと考えるかもしれませんが、狭小地における小規模アパート経営の場合は話が別で、空き室を出さないようにすることが収益性向上に繋がります。
ではどのようにして空室率を下げられるかというと、ずばり、他の類似物件との差別化を図ることです。類似物件と比較して明確な特徴があったり、住むメリットがあったりすると、それだけ入居者が集まりやすくなります。
差別化の具体的な方法には、次のようなものがあります。
ターゲット層の絞り方にもよりますが、安全で快適、住むメリッが多いと思える特徴を一つでも多く付与できれば、それだけ差別化ができるようになります。
30坪の土地にアパートを建てる際は、ワンルーム条例に引っかからないよう注意することも大事になります。ワンルーム条例とは、ワンルームアパートやワンルームマンション向けに、物件の面積や戸数、階数などについて条例で定めた規制です。
東京都23区では「地域人口の偏り」や「自治会の健全な活動促進」などを目的に、ワンルームマンション規制が実施されています。従って、東京都23区でワンルームマンションを建てるときは、このワンルームマンション規制に従って建築しなければなりません。
それでは、行政区ごとにどのような規制が実施されているのか順番に見ていきましょう。
行政区 | 対象となる階数 | 最低面積 |
---|---|---|
足立区 | 指導要綱で、3階建て以上で15戸以上の集合住宅が対象です。40㎡未満の住戸は29戸(一部地域は39戸)を上限に、上限を超える場合は、超過分と同数以上を75㎡以上の住戸にしなければなりません。 | 25㎡ |
荒川区 | 条例で15戸以上の集合住宅が対象です。30戸以上の場合、2分の1以上を50㎡以上の住戸にしなければなりません。 | 25㎡ |
板橋区 | 条例で「3階建て以上」「35㎡未満の住戸が15戸以上で総戸数の3分の1以上」両方を満たす集合住宅が対象です。 | 25㎡ |
江戸川区 | 条例で 「3階建て以上で10戸以上」「40㎡未満の住戸が6戸以上」のいずれかの集合住宅が対象です。15戸以上の場合、超える部分を平均70㎡以上にしなければなりません。 | 平均30㎡ ※1 |
大田区 | 条例で15戸以上の集合住宅が対象です。30戸以上の場合、用途地域ごとに規定があります。例えば、第1・2種低層地域の場合は、「(総戸数-30戸)×2分の1+1戸」以上を40㎡超の住戸にしなければなりません。 | 25㎡ |
葛飾区 | 指導要綱による規制で、3階建て以上で15戸以上の集合住宅が対象とされています。15~29戸は「(総戸数-15戸)×2分の1」以上を55㎡以上の住戸に、30戸以上では、「(総戸数-15戸)×2分の1」以上を55㎡以上の住戸に、かつ20%以上を75㎡以上の住戸にしなければなりません。 | 25㎡ |
北区 | 条例で3階建て以上で15戸以上の集合住宅が対象です。40㎡未満の住戸が30戸以上の場合、「(総戸数-30戸)×2分の1」以上を55㎡以上の住戸にしなければなりません。 | 25㎡ |
江東区 | 条例で、「3階建て以上」と「15戸以上で過半数以上が40㎡未満の住戸」の両方を満たす集合住宅が対象です。 | 25㎡ |
品川区 | 指導要綱で「3階建て以上」「30㎡未満の住戸が15戸以上で総戸数の3分の1以上」の両方を満たす集合住宅が対象です。30㎡未満の住戸が15~19戸の場合は1戸以上を40㎡以上に、30㎡未満の住戸が20~29戸の場合は2戸以上を40㎡以上にしなければなりません。 | 20㎡ (第1種低層地域は25㎡) |
渋谷区 | 条例で「3階建て以上」と「33㎡未満の住戸が15戸以上で総戸数の3分の1以上」の両方を満たす集合住宅が対象です。商業地域は「(総戸数-15戸)×3分の1」以上を50㎡以上の住戸に、その他の地域は「(総戸数-15戸)×2分の1」以上を50㎡以上の住戸にしなければなりません。 | 28㎡ |
新宿区 | 条例で3階建て以上で30㎡未満の住戸が10戸以上の集合住宅が対象です。30㎡未満の住戸が30戸以上の場合、第1種低層地域は「(30㎡未満住戸-29戸)×2分の1」以上を40㎡以上の住戸に、その他の地域は「(30㎡未満住戸-29戸)×3分の1」以上を40㎡以上の住戸にしなければなりません。 | 25㎡ |
杉並区 | 指導要綱で「3階建て以上で20戸以上」又は「3階建て以上で40㎡未満の住戸が6戸以上」のいずれかの集合住宅が対象です。3階建て以上で20戸以上の集合住宅で、40㎡未満の住戸が20戸超の場合、20戸を超える部分の2分の1以上を40㎡以上の住戸にしなければなりません。 | 25㎡ (10戸未満の場合は20㎡) |
墨田区 | 条例で 「3階建てかつ10戸以上」と「15戸以上」のいずれかの集合住宅が対象です。25戸以上の場合、総戸数の30%以上を40㎡以上の住戸に、50戸以上かつ半数以上が40㎡以上住戸の場合、総戸数の20%以上を70㎡以上の住戸に、100戸以上の場合、総戸数の50%以上を40㎡以上の住戸とし、かつ総戸数の20%以上を70㎡以上の住戸にしなければなりません。 | 25㎡ |
世田谷区 | 条例で、住居系・準工業地域内の場合、3階建て以上で40㎡未満の住戸が12戸以上の集合住宅、商業系地域内の場合、3階建て以上で40㎡未満の住戸が15戸以上の集合住宅が対象です。延べ床面積1500㎡以上で40㎡未満の住戸が30戸超の場合、「(40㎡未満住戸-30戸)×2分の1」以上を40㎡以上の住戸に更に平均50㎡以上にしなければなりません。 | 25㎡ |
台東区 | 条例で10戸以上の集合住宅が対象です。15~49戸で高さが40㎡以下の場合、3分の1以上を40㎡以上の住戸にしなければなりません。 ※規模に応じた規定もあります。 |
25㎡ |
中央区 | 条例で10戸以上の集合住宅が対象です(中央区全体の約8割にかかるエリアで指定)。40㎡以上の住戸の合計床面積が全体の3分の1以上にしなければなりません。 | 25㎡ |
千代田区 | 指導要綱で4階建て以上で30㎡以下の住戸が10戸以上の集合住宅が対象です。 総戸数が20戸以上の場合、40㎡以上の住戸の面積の合計が全体面積の3分の1以上にしなければなりません。 ※別途地区計画による規制があります。 |
25㎡ |
豊島区 | 条例で3階建て以上で15戸以上の集合住宅が対象です。 | 20㎡ |
中野区 | 条例で3階建て以上で12戸以上の集合住宅が対象です。「(総戸数-11戸)×2分の1」以上を(複数の居室を持つ)40㎡以上の住戸にしなければなりません。 | 25㎡ |
練馬区 | 条例で30㎡未満の住戸が20戸以上の集合住宅が対象です。 | 25㎡ |
文京区 | 条例で40㎡未満の住戸が10戸以上の集合住宅が対象です。総戸数15戸超の場合、「(総戸数-15戸)×2分の1」を40㎡以上の住戸にしなければなりません。 | 25㎡ |
港区 | (50文字程度)「東京23区のワンルームマンション開発規制の状況」をもとに、港区の対象となる階数についてまとめてください。 | 25㎡ (商業地域内は総戸数の2分の1未満は20㎡) |
目黒区 | 条例で3階建て以上で40㎡未満の住戸が10戸以上の集合住宅が対象です。40㎡未満の住戸が30戸超の場合、「(40㎡未満住戸-29戸)×2分の1」以上を40㎡以上かつ平均55㎡以上となる住戸にしなければなりません。 | 25㎡ |
ここからは、狭小地にアパートを建てるメリットを紹介していきます。
狭小地にアパートを建てるメリットの一つは、建築費を抑えられることです。広い土地にアパート建てる場合は、建物の規模が大きくなり、しかも鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建築することになるため費用が割高になりますが、狭小地に建てるアパートは建物の規模も小さく、木造アパートで建てられるため、全体的に建築費用を抑えることができます。
また土地が狭いとフェンスや舗装、配管など付帯工事や外構整備にかかる費用も相対的に安くなり、それらを含めた初期費用を抑えられることもメリットといえるでしょう。
さらに、建築予算が安いとローンの審査に通りやすくなること、毎月の返済額も軽くできるという副次的メリットもあります。
建築費用と初期費用に加えて、ランニングコストが抑えられることも、狭小地にアパートを建てるメリットでしょう。
ランニングコストとは、アパートを建てた後でも継続的に発生する費用のことで、具体的には修繕費やリフォーム費用、トイレ・キッチンなど設備交換費用、建物の管理費、入居者募集費用、固定資産税、都市計画税、不動産所得に関する所得税、ローン返済などがあります。
こうしたランニングコストは広い土地に建てる大規模アパート経営では負担が重くなりますが、狭小地におけるアパート経営の場合は、相対的に負担を軽くできるのが利点です。
結果、機動的な修繕や改修が可能になり、建物や設備に関してクオリティの高い状態を長く維持することができます。
狭小地に建てるアパートには将来性があるという点も知っておくといいでしょう。なぜ将来性があるかというと、日本では依然として少子高齢化が進んでいる上、女性の社会進出に伴って未婚率も上昇しており、その結果、独身者やDINKs(子供を持たない共働き夫婦)、子育てを終えたシニア世代からのコンパクトサイズの住居への需要が高まっているからです。
確かに、上記のような都市部を中心としたワンルームマンションの建築に対する規制があり、階数、戸数専有面積などには十分注意しなければなりませんが、それでも狭小アパートへの需要が高まっていること自体は、明るい材料として受け止めていいでしょう。
ちなみに需要に関しては、テレワークオフィスや“狭くていいから安い物件がいい”という単身者ニーズも少なくありません。
30坪アパートにおいて収益性や採算性を高くするために、間取りはどのように考えたらいいでしょうか。有効な2つの方法があるので、チェックしてみてください。
方法の一つは、アパートの階数を上げることです。狭小アパートの場合、建物を横へ広げることは不可能ですが、階数を上げることで縦に広げることはできます。そして階数を上げれば戸数が増え、収益を最大化できるでしょう。
具体的には、30坪の土地でも3階建てにすることが可能で、1階に2戸ずつとして、合計6戸の賃貸マンションの建設が可能です。1階に2戸ずつなら間取りにも余裕を得ることができ、6戸あれば収益性と採算性も良くなります。
前項と真逆の発想になりますが、居住部屋を少なくするという方法もあります。居住部屋を減らせば戸数が減るため入居者数も減りますが、一戸あたりの間取りを一戸建て住宅のように広く取れば、単価を上げることができ、さらにターゲットをファミリー向けにすれば、居住年数が安定して収益性を高めることができます。
30坪の狭小アパートでは戸数にして6戸程度が一般的ですが、ターゲットを家族持ちにすれば一棟あたり3戸でも十分に採算は取れるでしょう。
15坪程度しかない狭小地でも、アパートを建てることは可能です。
2019年あたりから、東京では「狭小アパート」がじわじわと広まってきています。手狭な住まいであっても、都心の人気エリアに7~8万円という破格の値段で住むのは、一人暮らしの若い借り手にとって大きなメリット。わずか3畳しかないワンルームでも引く手あまたです。
狭小地だとあまり部屋数を取れない、という印象があるかもしれません。しかし、15坪もあれば部屋数6つの2~3階建てアパートを建てることも可能です。
立地が良いものの土地が狭すぎる…という場所にアパートを立てれば、住人の入れ替わりが早い一方で、空室が埋まるのも早いため、狭小地であっても立派な収入源に生まれ変わらせることが可能です。
狭小地の課題は「間取りを間違えると、圧迫感のある部屋になってしまう」こと。天井を300cmほど取ってロフトスペースを設けるといった解放感の演出は必須です。
狭小地では駐車場つきのアパートにするのは難しいですが、1階部分を一部くりぬいて駐輪場を作ることは可能です。
狭小でも利便性が高ければ空室率は下がります。駐輪場があれば借り手も増えますので、駅や最寄りスーパーまで徒歩10分程度であれば、利便性のために駐輪場の設置を検討しても良いでしょう。
隣との距離が狭くなってしまう狭小アパートでは、RC構造の建築ができないケースもあります。
狭小アパートを建てる場合は、デッドスペースを生みにくい「木造」や「軽量鉄骨造(S造)」を選ぶのが一般的。木造や鉄骨造は、短い工期で建てられるのも魅力的です。特に「木造」であれば、変則的な間取りにも対応しやすいうえ、建築費用も抑えられるというメリットがあります。
だからといって、木造で建てれば間違いがない、というわけではありません。
木造、鉄骨造(S造)、RC造、SRC造と、工法は大きく4つに分けられます。それぞれに制限があるものの、その制限をクリアできるのであれば、好きなものを選択できます。
建築費用・工期・耐震/耐火/耐久性・遮音性など、重視したいポイントはさまざまでしょう。各構造のメリット・デメリットと、希望条件を考えたうえで、どの構造にするのかじっくり検討するのが大切です。
気を付けなければならないのは、「建ぺい率」の違いです。
たとえば15坪の土地を持っていても建ぺい率が50%あれば、アパートには7.5坪分の広さしか使えません。
また、第一種低層住居専用地域条例(イッテイソウ)など、3階建ての建物はほぼ建てられないエリアも存在します。そういうエリアであれば、1階部分をあえて半分ほど地下に埋めるスタイルのアパートを建てることで、部屋数を担保できます。
アパート建設をする前に、その狭小地がどのような用途で使われる土地であるのかも調べておく必要があります。
東京には「農地」も多く点在していますが、農業用の土地には原則アパートを建てられません。転用時に届出を出して許可をもらえるかどうか確認する必要もあるので、ご自身の持っている土地が「宅地」であるか、宅地に地目変更をできるかどうかを確認しましょう。
活用が難しく見える狭小地ですが、まったく活用方法がないわけではありません。
その土地や周りの環境に合わせた活用方法を見つければ、収益性のある土地に生まれ変わらせることもできるのです。また、その土地の特長をしっかりと把握してセールスをすることで、安い価格設定になりがちな狭小地であっても、高値で売却することが可能です。
自身で土地活用を行う、売却する、貸し出すなど用途は多岐にわたりますが、専門家と相談のうえ、自分の土地に合わせた活用方法を探しましょう。
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https://www.hastec.jp/apart_keiei_lp/js01/)
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